窓辺の老人から何気なく届いた“救いの言葉”が、ジョヴァンニの病床での生活に変化を与える。
重い病気と知らされたこと、何より癌センターという自分を取り囲む澱んだ空気の中にただ佇むばかり、常に周りから見られているアーティストとして行き場のない孤独感を感じる日々を過ごしながら、その老人から発せられたいかにも自然な言葉に光を感じたという。
もちろん自分はこれまで自らを支持してくれる人々に気持ちを注ぐべく作品を紡ぎ、それを奏でてきてはいたが、だからといって何も自分が特別視される必要はないのではないか、ということに気付いたという。病の発症も分け隔てのない運命の証。ならば周りの人々と目線を同じにしながら生きて行けばいいと思いはじめるきっかけになったのだと後日語ってくれている。
病床での過ごし方が変わったのはそれからである。
だからといって病状に明るい兆しが見えてきたわけではないのだが、人々との垣根を取り払ったことでいまの自分をいかに生きるかが整理できてきた。人と語らい、そして病床においても気概を感じながら、新たな創作に向かうイメージが湧いてきたという。
さまざまな構想を燻らせながら、自分の病名である多発性骨髄腫(Mieloma)に思考が集まる。
ジョヴァンニは音楽が自然に自分の脳裏に下りてきたものを細胞分裂のように前後に広げながら仕上げる(自然に仕上がるといった方が的確)作曲手法をもつ異例のクリエーターであるが、時として数学的な手法による創作を行うこともあると語っている。
バッハの発案と言われている音名暗号(モノグラム手法)を青年期に学び、事あるごとに注釈つきでわたし自身聴かせてもらったことを思い出したが、この(Mieloma)という文字列を使った創作が変化の乏しい病院のベッドの上で行われることになる。
音名暗号、そういかにも暗号のごとく、奇想天外な言葉遊びの中から音楽が生まれてくるのである。簡単に説明すると“Bach”→“シ♭・ラ・ド・シ”と音列してその音を辿った曲にしていくのだがおわかりになるだろうか。あるいはクロマティック手法を用いてたとえばひとつの言葉にAからZまでド ド♯レ レ♯ミ ファ ファ♯ソ ソ♯ラ ラ♯シを交互に繰り返しながらつけて偶然に収まった音列を使いそのメロディに基づいた音楽に仕立てるという、いかにもマニアックな手法なのである。
(Mieloma)は病床のジョヴァンニの手によって、その暗号的な手法に伴い、しかし不思議なことに無調性音楽とは異なる、いわばロマン派寄りのメロディっくな楽曲として誕生することになる。
堂満尚樹(音楽ライター)
Instagram
ぜひご覧ください!
【好評発売中】
音楽評論家加藤浩子と行く
秋のイタリア名門歌劇場&トスカーナ紀行9日間
2025年10月12日(日)~2025年10月20日(月)
フィレンツェに3連泊、ミラノにはゆとりの4連泊。移動を最小限に抑え、街の魅力をじっくり味わう旅程です。
魅力あふれるトスカーナの街、シエナやフィレンツェ、そして《リゴレット》の舞台としても知られるマントヴァ、ミラノなどの観光もお楽しみいただけます。
ミラノでは、ヴェルディが晩年を過ごした「音楽家の憩いの家」も訪れます。さらに、秋のイタリアならではの旬の味覚も堪能できるよう、お食事にもこだわりました。
【催行決定】
夏のバイロイト音楽の旅 9日間
2025年8月14日(木)~2025年8月22日(金)
◆「夏のバイロイト音楽の旅 9日間」
別途手配《ニーベルングの指環》4公演鑑賞
ドイツ屈指の高評価を得るレストラン・シェフの料理で知られるロマンティック ポストホテル。
豊かな自然に囲まれた保養地にあるホテルに滞在し、オペラ鑑賞もじっくり余韻にひたりながらお過ごしいただけます。
【催行決定】
夏の音楽祭めぐり!
ルツェルン~インスブルック~ザルツブルク12日間
2025年8月22日(金)~2025年9月2日(火)
◆「
夏の音楽祭めぐり!ルツェルン~インスブルック~ザルツブルク12日間」
涼風そよぐスイス・オーストリアで、世界最高峰の演奏家によるコンサートとアルプスの絶景をお楽しみください。
【お知らせ】
第19回ショパン国際ピアノコンクール2025
Aコース&Bコースご予約受け付けます!
『2025年ショパン国際ピアノコンクール鑑賞ツアー』の2次募集が終了いたしました。
Aコース《1次予選(前半3日間)》、Bコース《1次予選(全日程)》鑑賞9日間 に若干の空席が出ましたのでご予約を受け付けます。
【お知らせ】
2025年8月~10月ツアー催行状況のご案内♪
6月24日現在のツアー催行状況です。お問い合わせお待ちしております。
◆【催行決定】8月14日出発 夏のバイロイト音楽の旅9日間
◆【催行決定】8月22日出発 ルツェルン~インスブルック~ザルツブルク12日間
◆【受付中】10月12日出発 音楽評論家加藤浩子と行く 秋のイタリア名門歌劇場&トスカーナ紀行9日間
音楽ツアーデスクからのおすすめ情報!
「ヴァルトビューネ河口湖2025」のプレミアチケット
フジテレビジョン様より郵船トラベルのメルマガ会員の皆様へコンサートチケットのご案内です。一般販売では即完売となったプレミアチケットが、今回、特別枠としてわずかにご案内可能となりました。
■公演について
世界最高峰オーケストラの1つ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のシーズン最後を飾る夏の恒例イベント「ヴァルトビューネ野外コンサート」は、2024年6月22日に初登場から40年という記念公演が現地で行われ、ベルリンの風物詩として長きにわたり人々に親しまれています。
その“ヴァルトビューネ”を目指し、古代ローマ劇場やギリシャ円形劇場をイメージして建設された、富士山を背景に可動式屋根と優れた音響を有する野外劇場である河口湖ステラシアター。ベルリン現地とそっくりの環境と雰囲気の中、今公演ではPA無しで一流のサウンドを解放感とともにお楽しみいただきます。
国内のみならず世界的にも大きな話題となる2025年注目の大型クラシック公演にご期待ください。
■概要
公演名:龍角散 presents ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ヴァルトビューネ河口湖2025
日程:2025年7月5日(土)17:30開演(15:30開場)
2025年7月6日(日)15:00開演(13:00開場)
チケット価格(税込):
VIP席100,000円
<
VIP
席特典内容>
・会場内で最も音響に優れたお席の確約(本公演ではPA機器を使用いたしません)
・VIP専用シート(クッション性の高い座椅子)
・VIP専用入場口
・VIPラウンジ(ドリンクをご用意)
・公式プログラム
・ヴァルトビューネ日本初開催記念オリジナル切手(非売品)
S席45,000円
会場: 河口湖ステラシアター(野外音楽堂・可動式屋根)
〒401-0301 山梨県南都留郡富士河口湖町船津5577
出演:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
グスターボ・ドゥダメル(指揮)
演奏曲目
ガブリエラ・オルティス:Kauyumari(カモシカ)
デューク・エリントン:“Martin Luther King” from Three Black Kings(『スリー・ブラック・キングス』より「マーティン・ルーサー・キング」)
アルトゥーロ・マルケス:Danzón No.2(ダンソン第2番)
-エヴェンシオ・カステリャーノス:Santa Cruz de Pacairigua(パカイリグアの聖なる十字架)
ロベルト・シエラ:Alegría(アレグリア)
アルトゥーロ・マルケス:Danzón No.8(ダンソン第8番)
レナード・バーンスタイン:『ウエスト・サイド・ストーリー』より「シンフォニック・ダンス」
※曲目・曲順は変更になる可能性があります。
チケット情報
一般販売では即完売となったプレミアチケット。今回、特別枠としてわずかにご案内可能となりました。
チケット販売サイト(ぴあ):https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2444039&rlsCd=001
※ご案内可能な席数には限りがございます。完売の際はご容赦ください。
※VIP席は7月5日(土)のみの販売となります。
※WEB申込限定となります。
♪♪50周年記念品プレゼント♪♪
郵船トラベル音楽の旅は50周年!!
オリジナル・チケットホルダーをプレゼントいたします
最新の情報はスタッフブログ&各種SNSでも随時ご紹介!
フォロー、お友達追加をどうぞよろしくお願いいたします!
※LINEはスマートフォンからアクセスしてください
(パソコンからはご覧いただけません)